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条件変更後の期中管理報告は必要か

甲銀行は、A社に対する融資につき、信用保証協会の変更保証承諾を受け期間延長の手続きを実行した。その後、順調に返済を履行していたが、突然A社が倒産してしまったので、甲銀行はA社に対する保証付融資について代位弁済を請求した。

信用保証協会に対して条件変更後の期中管理報告を行う必要はあったか。
報告を行う必要はないが、保証付債権についてプロパー債権と同等の管理を行う必要がある。

善管注意義務に則った管理
金融機関と信用保証協会は、約定書例9条1項において「(金融機関は)常に被保証債権の保全に必要な注意をなし、債務履行を困難とする事実を予見し、又は認知したときは、遅滞なく甲(信用保証協会)に通知し、且つ適当な措置を講じるものとする」とし、同条3項では、債務者が履行期限(分割履行の場合は各履行期日を含む)に履行しない場合、プロパー債権と同じ方法をもって保証付債権の取立をすることと定めている。

つまり、保証付債権の管理にあたっては、金融機関のプロパー債権と同等の管理をすることを求めている。金融機関が債権者として債務者の状態を常に把握しておくことは当然であり、少なくとも約定弁済の遅延や金融機関で取引約定書に規定する期限の利益喪失事由に該当する事実等の事故報告提出事由が発生した場合は、遅滞なく協会に対し事故報告書をもって通知する必要がある。それ以外の場合において随時報告を行う必要はないが、保証制度によっては、要綱等において債務者に関する期中管理の状況等を定期的に報告することを義務付けている制度もあるため注意を要する。

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手続が必要となる条件変更にはどのようなものがあるか

甲銀行はA社に対し信用保証協会の保証付でB・C物件を条件担保として貸付実行していた。たまたま、A社が日本政策金融公庫の代理貸付を甲銀行より受けるにあたり、B ・ C物件の担保権の順位変更が必要となった。甲銀行はどのようにしたらよいか。

担保権の順位変更について、A社は「保証条件変更申込書」、甲銀行は「保証条件変更依頼書」を提出し、信用保証協会の承認を受けてから担保権の順位変更の処理をする必要がある。

保証債務内容に重大な影響を及ぼす事項
貸付実行後の保証契約の変更は、保証債務の内容に重大な影響を及ぼすため、保証契約の基本的な事項については変更保証契約を金融機関と信用保証協会で行うものとしている(約定書例5条)。変更保証契約を要する保証契約の基本的な事項とは、主に次のようなものである。

①保証期間の変更
②返済方法の変更
③債務引受等に伴う債務者の変更
④連帯保証人の変更
⑤担保の変更(担保物件の差替、一部解除、順位変更、極度額の変更等)

これらの変更契約は、信用保証協会が変更保証書を交付することによって成立し(約定書例5条1項)、金融機関がこれに基づき変更手続を完了したときにその効力が生じる(同条2項)。信用保証書記載事項のうち、変更契約の対象とならない事項の変更については変更事実の通知のみで足りる。例えば、ア.債務者の名称・住所の変更、イ.貸付利率の変更、ウ.主管店舗の変更、などである。なお、保証契約の変更は、約定書例2条により保証契約の効力が現に有効に発生したものに限り対象となるものであって、信用保証書発行後から貸付実行までに生じた信用保証書記載内容の変更は変更契約の対象とせず、信用保証書の訂正で処理することとしている。

信用保証料を納付しないと保証免責となるか

金融機関の貸付担当者甲野氏は、A社に保証付融資で金500万円を期間12ヵ月、返済方法満期日一括弁済の約束で貸付したが、貸付するにあたり、保証料50,000円の徴収を怠ってしまった。保証免責となるか。

信用保証協会か保証契約を無効として免責を主張できるのは、約定書例11条各号に明記してある次の3つの場合であり、保証料の徴収の過怠は保証契約違反に該当し免責となる。

①旧債振替(第1号違反)
②保証契約違反(第2号違反)
③故意、重過失による被保証債務の全部または一部の取立不能(第3号違反)

保証契約違反として免責となる
保証料の徴収は、金融機関と信用保証協会の間で締結された、約定書例8条1項により、一般的には金融機関が信用保証協会に代って貸付実行の際に、貸付利息の徴収と一緒に徴求することとなっている。したがって、金融機関が、もし保証料の徴求を故意、過失により怠ったとしたならば、保証契約違反として保証免責となる。なお、当該案件につき最終的に完済となり、金融機関が代位弁済請求をしなかった場合であっても、信用保証協会は金融機関に対して保証料相当額の損害賠償請求をすることができるものと解される。なお、東京信用保証協会における取扱いでは、貸付実行報告書受領後、一定期間を経過して未収保証料のリストを打ち出し、それに基づき金融機関の貸付担当者に保証料納付の依頼をしており、かかる事例は発生しないように注意している。

信用保証書交付後業態が悪化するおそれがあるときはどうしたらよいか

甲銀行は顧客A社に対する保証付融資の保証決定を3月1日に受けた。その後、3月5日、甲銀行で割引中のB社振出の手形が不渡りになったが、A社は資金繰りにより買い戻しを完了した。さっそく甲銀行はA社を呼び事情を聞いたところ、事業継続上重大な支障も無いとの判断で、引き続き与信を継続することに決めた。保証付貸付は実行して差し支えないか。

原則として貸付実行をして差し支えない。

善管注意義務との関係 
債務者に対する既存債権について延滞等がなく、かつ当該銀行が引続き与信行為を継続する意思を有していた以上、融資実行は差し支えないと判断すべきである。金融機関と信用保証協会の約定書例9条では、金融機関は保証付債権の管理にあたって、金融機関のプロパー債権と同じく、常にその保全に必要な注意を払うべきことが規定されている。

万一、金融機関においてその判断に疑義が生じるならば、貸付実行をする以前に信用保証協会に事情説明をし、了解をとって融資するのも安全な方法と考えられる。

甲銀行は、A社に対する融資につき、信用保証協会の保証承諾を受けた。その後、A社の主要得意先が倒産したので、甲銀行はA社に対する保証付融資を中止することに決定した。信用保証協会に対して行うことはあるか。

貸出中止をした理由書をつけ、すみやかに信用保証書を返却する必要がある。

信用保証書の返却
金融機関は、約定書例9条により保証付債権の管理にあたっては、金融機関のプロパー債権と同等の管理をしなければならないこととなっている。したがって、金融機関において信用不安と判断し、貸出を中止することに決定した以上、保証付融資であっても当然のことながら貸出をしてはならない。また、金融機関は保証付融資につき、貸付実行後遅滞なく信用保証協会に通知しなければならないこととなっている(約定書例4条)。この趣旨は、信用保証協会において保証契約の効力が生じたか否かを的確に把握することが重要であることを示しており、金融機関において貸付実行を中止すると決定した以上、すみやかに信用保証書を返却する必要がある。

既貸返済条件付き保証付貸付更新の契約日はどう取扱うか

金融機関の貸付担当者は、A社に対する保証付融資300万円の保証決定を平成22年11月10日に受けた。保証条件として「この貸付と同時に○○○の貸付を完済する」としてあった。○○○の期限は11月30日である。A社に11月20日貸付実行するとき契約日はどうすべきか。また○○○の保証残高の取扱いはどうすべきか。

貸付実行日11月20日を契約の締結日として、貸付と同時に保証条件どおり○○○を回収しなければならない。

弁済期限にかかわらず回収
(1)更新の取扱い
更新の取扱いについては、原則として貸付実行と同時の既存保証分の回収条件がついている。信用保証協会としては、当該金融機関のプロパー貸付も、保証付貸付も、約定どおり履行されているものと推定して「回収条件」等の保証条件を付すのが通例である。したがって、貸付実行日には信用保証書記載の保証条件どおり貸付実行する必要があって、○○○の保証付残高の回収条件が付いている場合は、弁済期限に関わちず回収する必要がある。また、既存保証分の弁済期限の履行を待って、今回保証分を貸付実行することは差し支えない。しかし、信用保証書発行後30日を経過すると、保証契約が失効してしまうので取扱上注意を要する。

(2)同等管理義務
金融機関と信用保証協会との約定書例9条3項には、金融機関は保証付債権とプロパー債権とを同等に管理すべきことが規定されている。したがって、原則としては、既存債権の延滞中に新規貸付は行われないものとしているため、既存の貸付債権がある場合、保証付、プロパー貸付のいずれにかかわらず、約定どおり履行させておくことが必要である。

金銭消費貸借の契約日と貸付金の交付日が異なる場合はどうするか

甲銀行の貸付担当者は、A社に対し保証付融資で金2,000万円貸付実行することで平成22年10月27日に保証決定を得た。保証条件として期間60ヵ月、返済方法7ヵ月目から毎月37万円宛割賦最終回39万円、A社名義の工場および事務所を共同担保として、普通抵当権の設定が義務付けられていた。さつそく10月31日付けで、最終弁済日を平成27年10月31日、返済方法23年5月31日から毎月12日限り37万円、期限に39万円宛返済と定め契約書を作成し、11月12日に法務局で設定登記のうえ11月13日資金を交付した。この場合の取扱いはどうしたらよいか。また、信用保証付貸付実行報告書の記入はどうするか。

金銭消費貸借契約証書の日付と、実際の貸付日とが相違するときは、債務者ならびに連帯保証人の了解を得て、金銭消費貸借契約証書の日付を実際の貸付実行日に訂正する必要がある。信用保証付貸付実行報告書には、始期を平成22年11月13日、終期を平成27年11月13日ど記入すること。

領収証の徴求を債務者・連帯保証人の了解を得て訂正する消費貸借契約は原則として要物契約であって、金銭の授受によってその効力が発生する(民法587条)こととなっている。ただし、必ずしも現金の交付は必要とせず、同等の経済的価値の移転が認められればよい。金融機関の慣行としては、貸付金の交付前に「交付した」と記載した証書を作成するのが一般的である。特に抵当権設定貸付の場合は設定登記が完了後、また公正証書貸付の場合は、貸付金を交付した旨記載した公正証書を作成した後に貸付するのが慣行である。これに対して、判例は抵当権については付従性を緩和することにより、また公正証書の執行力については、その要物性を緩和して共にその有効性を認めている。

学説もこれに賛成するものが多い。いずれにしても、作成された証書と消費貸借の実態を、当事者間で関連付けておく必要があるため、債務者ならびに連帯保証人の了解を得て訂正印をもらい、金銭消費貸借契約証書の日付を実際の貸付実行日11月13日付に訂正する必要がある。したがって、信用保証付貸付実行報告書にも貸付の実態を反映して始期を平成22年11月13日、終期を平成27年11月13日と記入すべきである。なお、金銭消費貸借契約書の作成日とは別に借入日を記載するなど、当事者の合意だけで成立する諾成的金銭消費契約を作成する場合もある。

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