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金銭消費貸借の契約日と貸付金の交付日が異なる場合はどうするか

甲銀行の貸付担当者は、A社に対し保証付融資で金2,000万円貸付実行することで平成22年10月27日に保証決定を得た。保証条件として期間60ヵ月、返済方法7ヵ月目から毎月37万円宛割賦最終回39万円、A社名義の工場および事務所を共同担保として、普通抵当権の設定が義務付けられていた。さつそく10月31日付けで、最終弁済日を平成27年10月31日、返済方法23年5月31日から毎月12日限り37万円、期限に39万円宛返済と定め契約書を作成し、11月12日に法務局で設定登記のうえ11月13日資金を交付した。この場合の取扱いはどうしたらよいか。また、信用保証付貸付実行報告書の記入はどうするか。

金銭消費貸借契約証書の日付と、実際の貸付日とが相違するときは、債務者ならびに連帯保証人の了解を得て、金銭消費貸借契約証書の日付を実際の貸付実行日に訂正する必要がある。信用保証付貸付実行報告書には、始期を平成22年11月13日、終期を平成27年11月13日ど記入すること。

領収証の徴求を債務者・連帯保証人の了解を得て訂正する消費貸借契約は原則として要物契約であって、金銭の授受によってその効力が発生する(民法587条)こととなっている。ただし、必ずしも現金の交付は必要とせず、同等の経済的価値の移転が認められればよい。金融機関の慣行としては、貸付金の交付前に「交付した」と記載した証書を作成するのが一般的である。特に抵当権設定貸付の場合は設定登記が完了後、また公正証書貸付の場合は、貸付金を交付した旨記載した公正証書を作成した後に貸付するのが慣行である。これに対して、判例は抵当権については付従性を緩和することにより、また公正証書の執行力については、その要物性を緩和して共にその有効性を認めている。

学説もこれに賛成するものが多い。いずれにしても、作成された証書と消費貸借の実態を、当事者間で関連付けておく必要があるため、債務者ならびに連帯保証人の了解を得て訂正印をもらい、金銭消費貸借契約証書の日付を実際の貸付実行日11月13日付に訂正する必要がある。したがって、信用保証付貸付実行報告書にも貸付の実態を反映して始期を平成22年11月13日、終期を平成27年11月13日と記入すべきである。なお、金銭消費貸借契約書の作成日とは別に借入日を記載するなど、当事者の合意だけで成立する諾成的金銭消費契約を作成する場合もある。