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信用保証書の記載事項と事実が異なるときはどうしたらよいか

金融機関の得意先担当者甲野氏は、新規顧客乙野氏より保証付融資300万円の依頼を受け、申出どおりの条件で3月10日に保証決定を受けた。さっそく乙野氏を招き信用保証書記載の保証条件に従って貸付実行の手続をとるべく話合っていたところ、乙野氏はすでに先月2月20日付けで個人事業を廃業し、法人成りして株式会社A社を設立していることがわかった。

どのようにしたらよいか。
貸付実行は中止すべきである。信用保証協会の保証は「信用保証協会法20条1項1号に基づく保証」、すなわち金融機関が「中小企業者」に対して貸付する債務の保証でなくてはならない。乙野氏個人はすでに廃業しており、中小企業者とは認められない。

貸付実行時の資格の確認
金融機関は、貸付実行時に債務者が中小企業者であることの確認を怠ってはならない。信用保証協会法20条1項は、信用保証協会の業務を定め、その第1号で「中小企業者等」が銀行その他の金融機関から資金の貸付、手形の割引を受けることなどにより金融機関に対して負担する債務の保証と規定し、それを受けて約定書の前文では「信用保証協会と金融機関は信用保証協会法20条に基づく保証(以下「保証契約」という)に関して、次の各条項を約定する」と定めている。

したがって、金融機関の担当者甲野氏は、乙野氏が中小企業者でないことが判明した以上、乙野氏に貸付するのではなく、信用保証協会の担当者と協議して「信用保証書」の債務者名を株式会社A社に訂正する処理を経たのち、A社に対して貸付を実行しなければならない。そのほか、貸付実行にあたって「信用保証書」記載内容どおりの保証条件の履行ができないときは、すみやかに信用保証協会の担当者と協議し、信用保証書の記載内容と貸付内容とが合致するよう訂正処理を完了してから貸付実行すべきである。なお、中小企業者としての実体のない者に対して貸付実行された場合は、信用保証協会と金融機関との間の保証契約は錯誤により無効となる。