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貸付金の使途が違う場合はどうしたらよいか

A社からの支店増築資金1,200万円の借入申込を保証付で貸付実行しようとしたが、借入資金は運転資金へ流用させようと思う。協会との保証契約に問題はないか。

資金使途を確認のうえ実行する。
信用保証書上の資金使途欄は設備資金となっているにもかかわらず実際は運転資金に使用させることから、貸付条件(保証条件)違反となり約定書例11条2号により免責の原因となる。

資金使途の確認は保証条件履行の第一歩
資金使途の相違は、信用保証協会との間の保証契約が無効となる場合と、契約成立後に保証条件違反として保証免責となる場合がある。

(1)保証条件違反として保証免責となる場合
保証条件違反に問われるものとしては、運転資金を設備資金に流用する逆の場合もある。債務者との融資にかかる意思疎通もさることながら、金融機関は増築計画、工事費支払状況のトレース、貸付時の現地確認等は当然の管理事務といえる。また、金融機関の事務ミスから保証条件違反として発生するものとして「本貸出をもって前保証○○○号を完済のこと」とあるのに完済処理を失念しているケースである。なお、旧債振替(約定書例3条)も資金使途相違のケースで、これは約定違反に該当する。条件どおり運転資金として使用しても、既往運転資金の乗換えは不可である。ただし、信用保証協会が特別の事情ありと認め、金融機関に対して承諾書を交付した場合は約定違反に該当しない(約定書例3条但書)。

(2)保証契約が無効となる場合
保証契約が無効となるのは、結果的に保証契約が錯誤(民法95条)等による場合である。例えば、中小企業者としての実態がな、いにもかかわらず、これを偽装して設備資金の申込をしたケース等が考えられるが、そもそも中小企業者でない者からの保証申込となるので、保証契約が錯誤により無効となる。資金使途違反については、金融機関の故意もしくは過失による場合のみが保証免責の対象となると考えてよい。したがって、いったん融資が実行された後、金融機関の故意もしくは過失によらず債務者による使途違反が生じた場合は、もはや金融機関の責任とはならないので、このような場合は保証免責とならない。なお、保証契約の錯誤無効については、金融機関の故意もしくは過失を問わない。

以上のほか、信用保証協会の承諾なしに不渡手形の買い戻しに使用するとか、投機資金等事業に直接関係のない資金に充当する場合などは、資金使途相違となるので、十分な使途確認を励行しなければならない。

信用保証委託契約書上の保証人以外に連帯保証人を自由にとってよいか

顧客A社に対し保証付融資800万円を貸付しようとしたところ、A社の代表取締役甲野氏を連帯保証人に徴求する保証条件が付してあった。金融機関のA社に対するプロパー貸付では、通常甲野氏のほか、常務取締役の乙野氏も連帯保証人に加えることが慣習であった。貸付実行にあたって乙野氏を連帯保証人として徴求してよいか。

「信用保証書」記載の保証条件どおりの貸付実行をもって足りる。
「信用保証書」の交付は保証契約の成立であって、その記載内容と合致した貸付実行が行われて保証契約は効力を発生する。したがって、保証条件に示された連帯保証人は貸付実行にあたって必ず徴求する必要があるが、その他の連帯保証人を徴求するかどうかは、金融機関の通常の事務処理に委ねられている。

金融機関の通常の事務処理に委ねられている
信用保証委託契約書の連帯保証人と、貸金上の連帯保証人とは、その保証すべき債務の内容を異にする。信用保証委託契約書上の連帯保証人は、「信用保証協会が代位弁済した金額全額および代位弁済後の損害金その他避けることのできなかった費用」等のほか信用保証料等の債務を委託者(債務者)と連帯して履行する責を負っている(委託契約書例13条1項)。他方、貸金上の連帯保証人とは、金融機関が貸付実行する際に当該貸金の連帯保証人として徴求するべく定められたものである。

信用保証協会の保証は民法上の保証であるとされていることから、信用保証協会が代位弁済により求償権を取得した場合、債務者は当然に全額求償債務を負担するが、貸金上の連帯保証人は信用保証協会との関係においては、共同保証の関係に立つ連帯保証人であって、この者に対する信用保証協会からの求償権の履行請求に対しては、連帯保証人の頭数の割合の範囲でのみ履行の責を負うにすぎない(民法465条1項)。このため、信用保証協会は委託契約書例13条4項1号により「信用保証協会が6条1項の弁済(保証債務の履行)をしたときは、連帯保証人は信用保証協会に対して7条の求償権全額を償還する」と特約し、民法465条1項の規定を排除している。

したがって、信用保証協会の保証条件に示されている連帯保証人は保証委託契約上にも当然に連帯保証人として加入しているので、負担部分の適用を放棄し全額求償債務の履行を負うこととなっている。反対に、金融機関の他の貸金を共同保証の関係に立つ他の連帯保証人が弁済によって消滅させた場合、その連帯保証人は信用保証協会に対して、同じ連帯保証人の立場として、民法465条1項により負担部分の割合に応じた履行請求が可能となる。しかし、先に述べたとおり信用保証協会はその連帯保証人との間において信用保証委託契約書例13条4項3号の「保証人が金融機関に対する自己の保証債務を弁済したときは、保証人は信用保証協会に対し何らの求償をしない」と特約し、連帯保証人からの民法465条1項の主張を排除している。

次に保証条件外の連帯保証人であるが、この連帯保証人は、委託契約に加入していないため、信用保証協会との間では民法465条1項の規定を排除する特約を結んでいない。したがって、信用保証協会が代位弁済後条件外の連帯保証人に請求する場合は、当然に頭数の割合の制限を受ける。逆に条件外の連帯保証人が金融機関に代位弁済した場合は、信用保証協会に対して頭数の割合の範囲で履行請求をしてくることも考えられる(実際には、この種の問題は起こっていないが法律論としては起こりうる)。このような場合を考慮して実務の取扱いとしては次のようにしている。

①金融機関が保証条件外の保証人を貸金債務の連帯保証人として追加した場合は、信用保証委託契約書にもその連帯保証人の追加を求める(ただし、後述の第三者保証人の例外に該当する場合に限る)。

②万一、条件外の連帯保証人が主債務者に代って債務の全額または一部を支払うときは、金融機関はあらかじめ信用保証協会の保証を免除のうえ保証債務の履行を受けるか、もしくは民法465条1項の権利行使を放棄させる特約を徴求した後、当該金融機関がその条件外の連帯保証人より保証債務の履行を受けるよう金融機関に協力を願っている。

なお、信用保証協会では、平成17年6月20日に報告された中小企業政策審議会基本政策部会の指摘を受けて、信用補完制度の基本理念に立ち返り、平成18年4月1日以降の保証申込受付分からは、以下に該当する場合を除いて第三者保証人を原則非徴求としている。

①実質的な経営権を有している者、営業許可名義人または経営者本人の配偶者(当該経営者本人と共に当該事業に従事する配偶者に限る)が連帯保証人となる場合

②経営者本人の健康上の理由のため、事業承継予定者が連帯保証人になる場合

③財務内容その他の経営の状況を総合的に判断して、通常考えられる保証のリスク許容額を超える保証依頼がある場合であって、当該事業の協力者や支援者から積極的に連帯保証の申出があった場合

保証期間内であれば貸出期間を短縮して契約できるか

貸付担当者甲野氏は顧客A社の依頼を受け保証付融資で800万円を期間12ヵ月、返済方法満期一括弁済で平成22年12月15日融資実行する予定でいたところ、A社より資金繰りの目安がついたから最終弁済日は平成23年10月10日にしてほしい旨の申出を受けた。どのようにしたらよいか。

貸付期間と信用保証書記載の保証期間とは原則として合致していなければならないので、貸付実行を一旦中止し、信用保証協会の指示を得なければならない。

一方的な変更はできない
信用保証協会は金融機関等の所見を参考にしながら、中小企業者の実態を調査したうえ、保証金額、保証期間、返済方法等を決定する。保証決定金額より著しく減額した貸付実行や保証決定期間より極端に短縮した貸付実行期間等を締結した場合、それが必ずしも中小企業者にとって利益になるとは限らないし、保証金額の査定は収益力、返済方法、返済金額、貸付期間等から決定されるため、金融機関または中小企業者が一方的に変更できるものではない。したがって、信用保証協会は信用保証書に記載されている保証条件どおりの貸付実行によって金融機関に対して保証契約の効力が発生し、その範囲内において保証責任を負担するものである。

よって、貸付担当者甲野氏は次のいずれかで対処する必要がある。

①A社と話し合い、証書上は保証条件どおり最終弁済期日を平成23年12月15日として約定締結し貸付実行する。そして、平成23年10月10日が到来した時点で、B社が繰上完済したこととして処理する。この場合、繰上完済した時点から最終弁済期日までの信用保証料が返戻されない場合がある旨の了解を得ておく必要がある。

②A社に貸付実行する前に信用保証協会の担当者に連絡し、協議のうえ信用保証書の保証期間を12ヵ月より10ヵ月に訂正処理した後に貸付実行する。

保証期間を超過する貸出はできるか

貸付担当者甲野氏は顧客A社より手形決済資金として500万円の融資依頼を受け、信用保証協会の保証を得ていた。保証条件には保証期間6ヵ月、貸付実行日3月20日、返済方法は2ヵ月目の5月20日から毎月100万円割賦となっていたので、A社の希望どおり3月20日貸付実行する予定で契約書関係を作成していた。

ところが、いざ証書に署名捺印する時になって、最終弁済期限は資金繰りの関係で9月末日、返済方法は5月末日から毎月末日限り100万円にしてほしいという。信用保証書記載の保証期間と貸付実行予定期間とが合致していない。したがって、いったん貸付実行は中止すべきである。

保証条件に合致した実行が必須
保証期間、返済方法は重要な保証条件であって、保証条件に合致した貸付実行でないと、保証契約が有効に効力を発生したとはいえない場合もある(約定書例2条1項)。したがって、信用保証協会は、代位弁済の請求があっても保証債務の履行ができない場合がある。

(1)期日
3月20日が貸付実行日とすれば保証期間は6ヵ月であるから、期日は起算日の応当日の前日、すなわち9月20日となる(ただし、期日の取り方は協会によって異なる場合がある)。A社が希望する、9月末日は保証期間6ヵ月を超過するので保証条件違反となる。

(2)返済方法
第1回内入日は貸付実行日が3月20日であるから起算日の2ヵ月後の応当日の前日、すなわち5月20日を原則とする。また、最終の内入日を保証期間内の9月20日以前に定めないと、保証期間の超過となり認められない。

(3)対応策
貸付担当者甲野氏は次のいずれかの方法で対処する必要がある。

①A社に対して最終期限を9月末日から保証条件に合致するよう9月20日にしてもらう。

②貸付実行前に信用保証協会の担当者に連絡をとり、信用保証書の保証条件の訂正(変更でない)を求める。
保証期間6ヵ月→7ヵ月
返済方法2ヵ月目から→3ヵ月目からと訂正処理を完了した後に貸付実行する。

保証期間の「始期」「終期」また「返済方法」をどう定めるか

A社に対し300万円の信用保証協会の保証をとりつけ、信用保証書をみたとこころ、(1)保証期間「実行の日から36ヵ月」、(2)返済方法「7ヵ月目から1ヵ月ごと100,000円」となっていた。平成23年2月23日に貸付実行する予定であるが、

①保証期間の始期、終期をどのように定めたらよいか。
②また、返済方法についてはどのように定めたらよいか。

①保証期間の始期は、貸付予定日となっている平原23年2月23日に貸付実行されればその日が始期となり、また、保証期間の終期、すなわち貸付の最終弁済日は、原則として貸付日から36ヵ月目の応当日の平成26年2月23日となる。

②第1回内入日は、原則として貸付日から7ヵ月目の応当日の平成23年9月23日となるが、資金繰り等の事情により必ずしも応当日に設定する必要はない。

始期は貸付予定日、終期は最終弁済日
(1)保証条件
金融機関と信用保証協会は、個々の保証に共通する事項、手続等保証取引に関する基本事項を契約内容とした「約定書」をあらかじめ締結し、個々の保証契約は「信用保証書」の交付によって成立させている(約定書例1条)。したがって、金融機関と信用保証協会の保証契約は、基本的にはこの「約定書」と個々の保証契約に関する「信用保証書」によって律されることとなる。

信用保証書の効力は、この交付された信用保証書に基づいて金融機関が貸付を行ったとき発生することとなっている(約定書例2条1項)。この信用保証書に記載されている債務者名、保証金額、保証期間、資金使途、貸付形式、返済方法、担保、保証人、その他の条件などを通常保証条件とよんでいる。ところで、金融機関が保証契約に違反したときには保証債務の全部または一部について免責を主張しうることとなっている(約定書例11条2号)。

(2)保証期間                
信用保証書に記載されている保証期間が千実行の日から○○ヵ月」と抽象的に表示されている場合、始期は貸付実行日、終期は原則として○○ヵ月(保証期間)後の応当日となる。ただし、制度によっては○○ヵ月(保証期間)後の応当日の前日を終期とする場合があるので注意を要する。終期が日曜日など金融機関の休業日にあたっても、金銭消費貸惜契約証書等の終期はその日を記入することとしている。この場合、実際の決済日は債務者と金融機関の取り決めにより前営業日または翌営業日となる。金融機関の取扱いとして休業日に終期を定めることを認めていない場合には、ぞの日の前営業日を終期として証書等に記入することとなる。

(3)返済方法
信用保証書に記載されている返済方法は抽象的であるが、具体的に内入日を定める場合、原則的には貸付日の応当日を基準としている。しかし、中小企業者の資金繰り等を考慮し、必ずしも応当日に設定する必要はない。具体的な内入日の設定のしかたについては、各信用保証協会に確認する必要がある。

(4)貸付実行報告書提出の際の再チェック
貸付実行後、金融機関は遅滞なく貸付実行報告書を信用保証協会宛提出することとなっている(約定書例4条)。この報告書を提出する際、再度、貸付担当者は保証期間、返済方法、その他の保証条件が、実際に貸付実行した証書面と合致しているかチェックすることが必要である。最近は、貸付実行報告をオンライン伝送で行う場合もある。

なお、信用保証協会は、貸付実行報告書受領後、記載内容をチェックし、遺漏等がある場合は金融機関の担当者に直接連絡を取り、訂正処理等を依頼している。したがって、貸付実行報告書の具体的記載内容と、金銭消費貸借契約証書等との記載内容が合致している限り、先に述べた免責条項の2号違反は保証期間、返済方法に関する限り起こりえないのが実態である。

信用保証書の記載事項と事実が異なるときはどうしたらよいか

金融機関の得意先担当者甲野氏は、新規顧客乙野氏より保証付融資300万円の依頼を受け、申出どおりの条件で3月10日に保証決定を受けた。さっそく乙野氏を招き信用保証書記載の保証条件に従って貸付実行の手続をとるべく話合っていたところ、乙野氏はすでに先月2月20日付けで個人事業を廃業し、法人成りして株式会社A社を設立していることがわかった。

どのようにしたらよいか。
貸付実行は中止すべきである。信用保証協会の保証は「信用保証協会法20条1項1号に基づく保証」、すなわち金融機関が「中小企業者」に対して貸付する債務の保証でなくてはならない。乙野氏個人はすでに廃業しており、中小企業者とは認められない。

貸付実行時の資格の確認
金融機関は、貸付実行時に債務者が中小企業者であることの確認を怠ってはならない。信用保証協会法20条1項は、信用保証協会の業務を定め、その第1号で「中小企業者等」が銀行その他の金融機関から資金の貸付、手形の割引を受けることなどにより金融機関に対して負担する債務の保証と規定し、それを受けて約定書の前文では「信用保証協会と金融機関は信用保証協会法20条に基づく保証(以下「保証契約」という)に関して、次の各条項を約定する」と定めている。

したがって、金融機関の担当者甲野氏は、乙野氏が中小企業者でないことが判明した以上、乙野氏に貸付するのではなく、信用保証協会の担当者と協議して「信用保証書」の債務者名を株式会社A社に訂正する処理を経たのち、A社に対して貸付を実行しなければならない。そのほか、貸付実行にあたって「信用保証書」記載内容どおりの保証条件の履行ができないときは、すみやかに信用保証協会の担当者と協議し、信用保証書の記載内容と貸付内容とが合致するよう訂正処理を完了してから貸付実行すべきである。なお、中小企業者としての実体のない者に対して貸付実行された場合は、信用保証協会と金融機関との間の保証契約は錯誤により無効となる。